フグのトリビア、ウソ?ホント?
  • フグのトリビア、ウソ?ホント?
TRAILER
予告篇
INTRODUCTION
イントロダクション

猛毒を持ち、時に人を死に至らしめる魚——フグ。その危険性から、「当たると死ぬ」ことを鉄砲の弾になぞらえ、“てっぽうGUN”とも呼ばれてきた。——にもかかわらず、何百年にもわたって、「食べるのをやめる」のではなく、“どう安全に食べるか”を追求し続けてきた日本人。

厳格な免許制度。試験に人生を賭ける料理人たち。“危険”を“美味”へ変える職人たちの技と美学。一流料理人、ミシュランシェフ、フグ毒研究者、下関や築地の目利き職人など、フグに魅せられた多彩な人々の姿を映し出す。

近年、フグをめぐって新たな波紋も広がっている。「無毒のエサを与えれば、フグは毒化しない」。つまり、“養殖フグは無毒”!? その研究成果は、合法的な肝食解禁を目指す動きへと発展していく。「天然と養殖で肝の区別はつかない」「事故が起きてからでは遅い」——そう警鐘を鳴らす否定派の人々。一方で、「“どう食べるか”を追求してきたのが食文化」と語る人々もいる。フグへの信念を持つ者同士の対立は、「安全とは?」「食文化とは?」という根源的な問いを投げかける。

制作・取材を重ねる中で、監督自身もまたその魅力に取り憑かれ、ついには“大阪府ふぐ取扱登録者”になるほど、のめり込んでいった。

命の危険と隣り合わせだからこそ、人はここまで夢中になるのか。10年にわたりフグを追い続けた監督が描く、驚きと人間ドラマに満ちたエンターテインメント・ドキュメンタリー!

*天然・養殖に関わらず、フグの内臓の販売は食品衛生法で禁止されています。

PEOPLE
フグをめぐる人々
行木由香里

行木由香里なめき ゆかり

千葉県出身。東京都ふぐ調理師免許試験に挑む料理人。千葉調理師専門学校で調理師免許を取得。卒業後は東京の老舗結婚式場「八芳園」に入社し日本料理の修練を積む。同期との差に焦りを感じ、卵焼きの技術習得に打ち込む。自費で卵を買い、毎晩試作を重ねて社内で配っていたことが上層部の目に留まり、八芳園で卵焼きパフォーマンスが導入されるきっかけとなった。入社4年目に、自身の成長のためふぐ免許への挑戦を決意する。

真貴田雄一

真貴田雄一まきた ゆういち

昭和3年創業の老舗ふぐ料理店「上野さんとも」オーナーシェフ。一般社団法人全国ふぐ連盟・代表理事会長。NPO法人ふぐ食応援大使の会・代表理事長。東京都ふぐ取扱業組合連合会・会長。東京ふぐ料理連盟・会長。「何事も基本に忠実に」、「最高級のふぐ料理をリーズナブルに」がモットー。ふぐ免許制度の礎を築いた祖父の意志を受け継ぎ、ふぐ食文化の発展と継承に取り組む。現在はふぐ免許の国家資格化を目指している。

亀井一洋

亀井一洋かめい かずひろ

京都「ふぐ料理ともえ」オーナーシェフ。一般社団法人全国ふぐ連盟・名誉会長。NPO法人ふぐ食応援大使の会・相談役。エンジニアを目指して大阪工業大学に進学。卒業後、「ふぐ料理ともえ」の二代目に就任。「料理は科学である」という信条に基づき、独自の哲学でふぐ料理を追求。マイクロスコープでふぐ皮の解析なども行う「理系」職人。2014年に「京の名工」を受賞。2010年から12年連続でミシュランの星を獲得。

北濱喜一

北濱喜一きたはま きいち

1928年生まれ。大阪・岸和田のふぐ料理店「喜太八」二代目店主。ふぐ料理界のレジェンド。驚異のふぐコレクションを蒐集する「ふぐ博物館」館主でもある。独自の「北濱流」による料理はミシュラン二つ星を獲得。世界的なフグ研究家としても知られ、まだ日本に免許制度がない黎明期から「ふぐ中毒をなくす」という信念のもと、独自に科学的なふぐ研究を続けてきた。日本のふぐ食文化への貢献は計り知れない。

林莉

林莉リン・リ

中国福建省出身。東京都ふぐ調理師免許試験に挑む料理人。行木とは除毒所の同期で良きライバル。海辺の町で育ち、大潮の日は家の中で魚を捕まえて遊び、波の音を聞きながら眠る日々をすごす。幼い頃から親しんだ日本アニメに憧れ25才で来日。居酒屋で働くうちに包丁捌きや盛付に魅かれ、調理師免許を取得。幼い頃大人が美味しそうに食べていたのに危ないからと食べさせて貰えなかったフグへの興味からふぐ免許挑戦を決める。

串田晃一

串田晃一くしだ こういち

16歳から築地市場に入り河豚と向き合い続ける。現在豊洲で「串田水産」本店と支店の2軒を営む仲買人。色・形などから産地や状態を見極め、お店やお客様のことを頭に入れて、その日その日のシーンに合わせた最高のふぐを提供する、ふぐの目利きのスペシャリスト。

平尾泰範

平尾泰範ひらお やすのり

下関の老舗ふく仲卸「平越商店」代表。ふくの目利きのエキスパート。平越商店は1935年創立。ふく料理の名人としても知られた初代・平尾雅雄がふくの全国発送を開始したことに始まる。1997年、ふくの個人消費拡大を目的に学習体験施設「ふく楽舎」を開設。日本の食文化の華「ふく」の魅力を多くの方に伝えることが創業の志。2006年に三代目として社長就任。下関唐戸魚市場仲卸協同組合理事長。下関ふく連盟副理事長。

荒川修

荒川 修あらかわ おさむ

長崎大学教授。マリントキシン(魚介毒)研究の第一人者。内閣府食品安全委員会かび毒・自然毒等専門調査会専門委員。東京大学大学院博士課程修了(農学博士取得)後、米国ノースウェスタン大学研究員、鹿児島大学助手等を経て現職に。「フグを中心としたマリントキシンのリスク管理に関する研究」で令和8年度日本食品衛生学会賞受賞。近代日本のフグ毒研究の功労者である野口玉雄教授の愛弟子の1人。

小川明秀

小川明秀おがわ あきひで

株式会社小川水産会長。熊本県天草市でトラフグの種苗生産や養殖を営む。年間出荷量150〜200tは熊本県で一位を誇る。「無毒の餌を与えればフグは毒化しない」という長崎大学・野口玉雄教授らの研究発表に衝撃を受けて以来、長崎大学の荒川教授たちとフグ肝の食用解禁に挑んでいる。2004年に野口教授・荒川教授らと連名で「フグの養殖方法、及びそれを用いたフグの無毒化方法」の特許を取得(特許第3535449号)。

澤原將人

澤原將人さわはら まさと

大阪、東京を拠点とする会員制ふぐ料理店『とらふぐの会』社長(当時)。オリジナルの【焼ふぐ】の開発や【とげ塩】の発明者。『ふぐ』の文化、美味しさの研究などを講演活動やイベントを通して国内、国外に【ふぐの魅力】を伝え続けている。

DIRECTOR
監督

宇野航うの わたる

1979年生まれ。岐阜県出身。映画美学校フィクションコース第5期修了。映像編集会社を経て、2004年に株式会社小椋事務所へ入社し、劇場用映画の企画・制作に携わる。2011年にモード・フィルム株式会社へ入社。2014年に株式会社カラーバードへ入社。映画の企画・制作業務に従事し、本作を完成させるため2022年に独立。
本作では、私財を投じながら10年にわたり取材・制作を続け、料理人、研究者、漁師、流通関係者、愛好家など、フグに関わるさまざまな人々を記録。取材の過程で「大阪府ふぐ取扱登録者」の資格も取得した。